高雄

地図

概要

高雄は台湾南部を代表する都市の一つ。台北を台湾の東京とするならば、高雄は大阪+神戸といったところか。港湾とともに成長し、今でも世界的な貿易港として知られる。

台北から高雄までは新幹線で約1時間40分。東京から名古屋、京都から広島とだいたい同じくらい。

台北を経由せずとも、成田や関空、福岡空港などからは高雄国際空港への直行便も出ている。空港から中心市街地までは地下鉄で一本で行けるので、けっこうおすすめ。

路線図

※路線図は2018年11月当時のもの。

訪問当時は、ちょうど台鉄(日本でいうJR)の路線を地下化し、駅を増やして短距離輸送の利便性を向上させる工事が行われていた。上地図のグレーの点線が地下化された区間である。

地下鉄は紅線橘線の2路線あり、街を十字に貫いている。さらに、高雄の街をぐるっと1周するライトレールの建設が進んでおり、訪問時は地図の黄緑色で示した区間しか開業していなかったが、2022年現在は7割近くが開業済、数年後には全線開業を目指しているようだ。

高雄駅周辺

高雄の陸の玄関口。区間列車の他、台北方面に直通する特急列車も1時間に1本ほどのペースで出ている。(台湾は日本でいう在来線と新幹線を運営する会社が別なので、在来線と新幹線がバチバチにやりあっている。そのため、長距離の在来線特急が今も残っている。)

ちなみに新幹線の駅は5kmほど北にある「左營」駅にある。上の事情もあって、台湾の新幹線駅は台北周辺を除いてほぼ全てが従来の中心駅から離れたところに設置されている。

高雄駅構内

高雄に着いて数日で新駅舎が開業した。それまでの仮設の駅舎の中にも入ったのだが、1枚も写真を残していなかった、、、

中心市街地

高雄の現在の中心市街地は高雄駅の南側に広がっている。美麗島駅は2本の地下鉄が交差する乗換駅である。中央公園の近くには今回滞在時に拠点としたゲストハウスがある。大立デパートや新堀江商圏など、徒歩圏内に買い物スポットや飲食店が充実しており、生活にはまず困らない。

三多商圏は名前の通り高雄の一大ショッピングエリア。大遠百、新光三越、遠東SOGOと百貨店も集中している。

ここから海側に歩いていくと、だんだんと個性的な建物が増えてくる。なかでも目につくのは高雄一の高さを誇る「高雄85」で、高さはなんと347m、85階建て。高雄駅からも見えるほどに際立った高さなのだが、近づいてみると改めてその大きさが実感できる。他にも、このあたりの海側にはIKEAやコストコなどの大型店舗が点在している。

ちょっと距離が離れるが「統一夢時代」という巨大な複合施設もある。Wikipediaによると延床面積は約25万㎡とのことで、日本だとららぽーとTOKYO-BAYやイオンモール広島府中(ソレイユ)と同じくらいのようだ。最規模なモールにしっかりした百貨店が併設されているため、本当にここだけで生活が完結できてしまう印象を受けた。

夢時代から高雄85のあるエリアへはライトレールが伸びている。さらにライトレールは北西に進み、高雄の旧市街まで繋がっている。

旧市街

高雄の旧市街は、現在の中心部から見てざっくり西にある。日本統治時代はこのエリアが高雄の中心であり、高雄駅も当初はこちらに建設された。1941年に現在の位置に高雄駅が移転したあとは高雄港駅に改称して、わりと最近まで営業されていた。

現在建設が進んでいるライトレールはこういった廃線や貨物線跡をフルに活用している。かつて使われていた機関車と最新のライトレールの並びが見られるのはこういった事情ならでは。

川に近いエリアはこんな感じ。旧高雄市役所は現在歴史博物館として使われている。

海側はいかにも貿易港といった風景。古くからの港や建物も残りつつ、一番海側に新しい埋立地が作られることで現代の港としてもしっかり機能している。澎湖諸島や後で紹介する旗津などへは、このあたりから船が出ている。

さらにトンネルを抜けて西側には高雄でトップクラスの大学である「国立中山大学」がある。自然も豊かで市街地にも近く、何とも羨ましい環境だ。

寿山

港町といえば近くまで山が迫っており、そこに登って見る景色を思い浮かべる方も多いかと思う。高雄も例外ではなく、旧市街は寿山にへばり付くように埋立地が広がっている。また展望台までの道がちょっとしたハイキングコースになっており、観光客だけではなく散歩中の現地の方も何人か見かけた。

日本統治時代からの建築などもあり道中飽きないし、なにより展望台からの景色が素晴らしいのでおすすめ。

旗津

旧市街からフェリーですぐの対岸エリアが「旗津」である。こちらにも歴史を感じられる建物が多く残っている。地形でいえばもともとは砂嘴であり南側は台湾本島と地続きだったが、戦後に港湾を整備する際に本島と切り離されたようだ。

高雄のプチリゾート地となっており、フェリーを降りて少し歩くと絵に描いたようなビーチが広がっている。また、その道中には屋台が密集している。漁港も近いことから、海鮮系の店が多い。

台鉄の新駅たち

台鉄の高雄近郊区間の地下化に合わせていくつかの駅が開業したので、そのうち3駅を紹介する。。完全に新規開業となる駅もあれば、かつての廃駅を復活させた駅もある。

高雄駅から台北方面に向かって1つ目の駅が三塊厝駅。高雄駅が旧市街地から現在地へ移転してきたことで利用者が減少して一度は廃止された駅のようだが、今回の地下化に合わせて復活することとなった。

その2駅先は美術館駅で、名前の通り高雄市立美術館が近くにある。光を取り込んだ開放的な駅舎や通路沿いのアートなど、美術館への玄関口にぴったりの雰囲気。近いうちにライトレールとの乗換駅になる予定である。(→2021年12月開通!)

同じくライトレールとの乗換駅になる予定なのが科工館駅。「科学工芸博物館」の最寄り駅だ。敷地がかなり広く、台湾の鉄道、台湾の過去の水害、衣食住の中の科学など、様々な科学分野に触れることができる。大人でも見ごたえのある展示が充実している。

左営

高雄の新幹線(高鉄)の駅があるエリア。高速道路も近くまで伸びているため、高雄より南の街に向かう人はここで高速バスに乗り換えることができる。さらには地下鉄一本で中心市街地とも繋がっており、高雄の北の交通の要衝となっている。駅のすぐ近くには新光三越もあり、ちょっとした商業の集積地にもなっている。

台湾では新幹線(高鉄)と台鉄(在来線)が別会社となっており、それぞれ駅名も異なる。高鉄の左営駅に乗り換えられるのは台鉄の新左営駅である。台鉄左営駅では乗り換えられないので注意が必要。

蓮池潭

左営の近くには蓮池潭と呼ばれる池がある。孔子廟や龍虎塔が名物だが、これらは建設後しばらくしてここに移転してきたようだ。

金獅湖/澄清湖

さらに高雄の北側には湖が2つあり、それぞれに歴史ある建造物やモニュメントが残っている。

金獅湖

澄清湖

訪問した日はまさかの休園日…。ここから三多商圏まで地下鉄で繋がる計画もあるらしいが、今回はおとなしくバスで帰った。ちなみに2018年当時はICカードを使えば24NTD、つまり100円もかからず1日バスを乗り放題にできたので、ことあるごとによく利用していた。

鳳山

清朝時代からの史跡も残り、比較的早い段階で市街地化されていたエリア。入り組んだ街路が特徴的。このあたりも台鉄地下化の例に漏れず、駅舎の世代交代が進んでいた。

海風社区公園

鳳山駅からさらに東に2kmほど行ったところにある、旧日本海軍の鳳山無線電信所の跡地である。建設当時は日本三大無線送信所の一つであったらしい。終戦後も中華民国政府によっていろいろな使われ方をされたようで、なんとも言葉にし難い雰囲気が漂った場所だった。

岡山

台湾にも岡山がある。この地が岡山と名付けられたのは日本統治時代だが、それ以前から街はあったようだ。

岡山は新幹線駅のある左営からさらに10kmほど北にある。地下鉄の紅線は現在、岡山の少し手前の南岡山が終点となっている。紅線はさらに延伸し、台鉄岡山駅を経由して台南にほど近い路竹区まで伸びる予定となっている。

岡山寿天宮のある場所は日本統治時代は岡山神社という神社だったそうだ。手前にある鳥居や狛犬がその名残か。

他にも・・・

最後に、ここまでで紹介できなかったエリアをまとめて紹介。

「小港」は地下鉄紅線の南の終着駅。市場やお店もありそれなりの拠点にはなっているが、中心部から離れていることもあってちょっぴりディープな雰囲気。徒歩圏内に空港があり、飛行機がかなり近い。

「凱旋」駅はライトレールと乗り換えができるが、駅自体は比較的落ち着いている印象。夢時代が徒歩圏内。

「巨蛋」はアリーナのこと。隣接している漢神(HANSHIN)アリーナデパートは日本系の店舗が多く入っているため、日本人でも利用しやすかった。

ここで紹介できたものは高雄のほんの一部だ。写真が残っておらず紹介できなかったが、六合夜市や瑞豐夜市をはじめとする夜市など、高雄を知るためにぜひ訪れていただきたいスポットはまだまだたくさんある。

ぜひ機会が合えば高雄を訪問して、自分なりのお気に入りスポットを見つけ出していただきたい。

おわり

最後までご覧頂き
ありがとうございました